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から求められる。
R(λ)=Ia(λ)/r(λ)(8)
ここに、Ia(λ)、Ir(λ):それぞれ試料及び標準板の反射電磁波エネルギーである。
Fig.13は、6種類の土壌に対してその反射率曲線を図示し、Fig.14には、有明底泥の含水比変化による反射率曲線を示した。図示されるように、土壌の反射率は、各土壌ごとに固有の形状を保持している。特に、波長域0.3μm〜08μmの範囲では、波長の増加に伴って反射率も比較的大きな割合で変化し、各土壌の特徴を現すものと考えられる。このように各土壌の反射率曲線は、土壌含水比を変化させても土壌固有の形状を成しており、各土壌の物理、化学的組成を総合的に反映するものといえる。この波長域を有効に利用することにより、生物の基礎生産力と密接に関係する含有有機物や水分変化の把握、予測にリーモトセンシングのデータは有効なものと考えられる。

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Fig. 13 Reflection curves for soil type

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Fig. 14 Reflection curves for Ariake sediment with water con-tent

6. 結論
この研究から得られた主な知見は次のようにまとめられる。
1. 潟土中の温度伝導率は、潟土の状態に大きく左右され、特に水分量の変化による影響は大きい。また、潟土の5〜20cm層付近での強熱減量、透水係数は大きい。また、飽和状態で潟土の体積熱容量と体積含水率は比例関係にあった。
2. 潟面およびその近辺の潟土中の温度の時間的変動は非常に大きいが、深さ30cm付近のそれは非常に小さく、ほぼ一定であった。
3. 夏季の晴天日における潟面およびその近辺の潟土中の温度は、日射量の高い10時ごろから18時頃までは急増するが、日射量の急減する夜間から翌朝にかけては減少傾向にある。すなわち、潟土中の温度は日射量と水深の状態によって大きく影響される。特に日射量のピーク時刻と潟面の浸水時刻がほぼ一致する場合、潟面およびその近辺の潟土中の温度の時間的変動は大きく抑制される。
4. 潟面付近の温度伝導率は他の深さのそれに比べて低く、逆に深さ5?〜10cm付近のそれは高い。さらに、それより深いところでは、それらの中間的な値となっている。しかし、潟土中の平均的な温度伝導率は、4×10-3c?/secのオーダであった。
5. 有明海奥部干潟域における海水中の窒素化合物の空間的分布と時間的変動、さらにはリンおよび窒素化合物の海水中での挙動と環境要素との関連性が把握できた。
6. 土壌の反射率曲線は、土壌含水比を変化させても土壌固有の形状を成しており、土壌の物理、化学的組成を総合的に反映していることが把握できた。
7. 参考文献
1)栗原康:海・陸境界面の生態学的諸問題,沿岸海洋研究ノート,24(1),pp.21−32.1986
2)佐々木克之:干潟域の物質循環, 沿岸海洋研究ノート,26(2),pp.172−188.1989
3)渡辺潔:佐賀平野と干拓について,浅海干潟総合実験施設研究紀要、第3,pp.7−16.1989
4)Nicholas,W.L.,Stewart ,A.C. and Marples,T.G.:Field and laboratory studies of Desmodora cazca Gerlach, Nematologica, 34, pp.331-349 1988
5)土壌物理測定法委員会、土壌物理測定法、養賢堂、PP.287−289.1972
6)N .P. Revsbech,J .Sorensen,T.H .Blackburn Dis- tribution of oxygen in marine sediments mea- sured with microelectrodes, Limnol. Oceanogr., 25(3), pp.403-411, 1980
7)左山幹雄、栗原康:河口・沿岸域の生態学とエコテクノロジー、東海大学出版会、p.36.1991
8)河合章:水域底泥からのアンモニア態窒素などの溶出,沿岸海洋研究ノート,18(2)、pp.106-111,1981

 

 

 

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